【今ここにある危機とぼくの好感度について】第5話の感想・ネタバレ/もう最終回?日本の闇をユーモアたっぷりに風刺した傑作でした

今ここにある危機とぼくの好感度について 感想 ※ネタバレ注意

ついに最終話となりました。全5回、あっという間でしたし、もっと見ていたいと思えるほどの素敵な作品だったと思います。

謎の虫刺されが命に関わると知ってしまった真。帝都大が関係ありそうだということも明らかになり、またも隠蔽へと動く理事たちに真は碧碧とします。エビデンスがないと逃げるであろう理事たちを見越して真は奇策を用意。

理事たちを試そうとする真に、三芳はお前の大事な好感度は大丈夫なのか?と問いました。「好感度、そんなものはどうだっていい。そんなものよりもっと大事なものを知った」と話します。ついに好感度を投げ捨てた真でしたが、お次は市長による隠蔽‥。フィクションだと銘打ってあるこのドラマですが、これが今の日本の有様なのかと否が応でも感じるシーンでした。

好感度を捨てると決めた真がいつも大量に差し入れしていたお菓子を買うのをやめていたところもクスッとさせてくれましたね(笑)

市長による隠蔽指示を受け、手も足も出ない状態に追い込まれた真。しかし、同じく虫刺されで入院していた新聞部の学生も元気になったとわかり「それだけでもよかった。」真はこう話しました。それを受け、虫に刺されたことが原因とも知らず亡くなる人がいるんじゃないのかと新聞部の学生は反論しました。

「やめようよ、若いからってそうやって本当のことズケズケ言うの。」と真は嗜め、「世の中ってのはね、そういうものだよ。負け犬は負けるしかないし、少数派は多数派の犠牲になるしかない、だから好感度なの。クソ社会に出てみろよ。俺みたいに何の取り柄もないやつは、かたっぱなしに忖度しまくって、媚びへつらって、好感度上げるしか生き残る方法なんかない。」と話すのでした。

澤田教授の助言から、因果関係のエビデンスを手に入れた真は証拠を手に入れたいと思うかと三芳に尋ねました。自分の責任が確実に問われるこの事態で、三芳は迷う事なくYESと返し、「問題には正しい名をつけなればそれを克服することはできない。どんなに辛くても証拠不十分と言い換えてはならない。」と孔子の教えを引用しながら語りかけました。潔い三芳の言葉に真も覚悟を決めていましたね。

また、三芳総長と須田理事のやりとりは名場面すぎました。「大学は真理探究の場であり教育機関、その名に恥じない選択をしなければ」と言う三芳に対し、「教育も研究もお金がないとどうしようも無い、現実を見てくれ」と須田は返します。すると三芳は「現実を見ています。帝都大学は過ちを犯した。故に然るべき責任を取らなければならない。これが本当の現実です。」と三芳は言い放ちました。そして、我々は腐っていると話す三芳の姿は、真のリーダーの姿だったように思います。また、真反対の意見を持つ須田もある種、大学を守るために現実的なのかもしれません。

会見を中止にしようという動きを押し切ったのは真でしたね。初回の頃の真からはこんな風に動く姿が想像つきませんよね。みのりとの再会や、社会に出る前の段階にいる忖度が必要ない学生の真っ直ぐな言葉、恩師である三芳の姿勢、命の危険‥。様々な要因が真を奮い立たせたのかもしれません。

この一件があったのにも関わらず、敵対するような立場だった須田理事が残されたのも大きな意味があるんだろうなと感じましたし、みのりと真が結ばれたのもきっと、真にとって大きな意味があったと思います。

ドラマにあったように帝都大の理事たちの思考が大半を締めるであろうこの日本に、現実には三芳総長のようなトップがどれだけいるのでしょうか。そして、真のように好感度を投げ捨てる覚悟がある人間はどれほどのいるのでしょうか。思っていてもそう簡単にそうはさせてくれない日常があふれているように思います。

全話を通し、今、日本で起こっているブラックな事態たちにメスを入れる内容となり、それが保身したい理事や事なかれ主義の真たちによって、ユーモアたっぷり、風刺的に描かれていたと思います。

最終話まで、さすが、渡辺あやさんの脚本!と言った安心感がありました。松坂桃李さんも、鈴木杏さんも、理事たち俳優陣も本当に素晴らしい演技でした。また、語り手だった伊武雅刀さんがラストシーンにひょっこり登場したの粋な演出でしたね◎続編を期待したいです。

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