正義の天秤第1話 感想 ※ネタバレ注意
大門剛明氏著書、『正義の天秤／アイギスの盾』（角川文庫）がドラマ化されました◎「俺にとって、弁護は治療だ！」と医師から弁護士に転職した鷹野和也が、戦力外チームを率いて数々の難事件の真相を暴く、本格法廷ミステリーとあり、楽しみでしかありません。
亀梨和也さん演じる主人公の鷹野は元外科医の肩書を持つ弁護士。創業者である佐伯真樹夫が死去し、傾きつつある師団坂法律事務所の立て直しに呼ばれたというところから物語は展開されました。
師団坂法律事務所の民事を担当する“ルーム２”と企業法務を担当する“ルーム３”が事務所の利益の大半を占める現状から、ルーム３の代表でシニアパートナーを務める西園寺は刑事部門を担当する“ルーム１”の廃止を検討していると話しました。
しかし、真樹夫の娘である芽依はメジャーリーガー級の助っ人を呼んであると話し、鷹野の素晴らしさを熱弁。“4年前に法曹界に彗星のように現れ無傷の９連勝” 確かに聞く限りでは素晴らしい人材。1年前に忽然と姿を消したとも触れられており、何か訳ありな弁護士なのかもという印象でした。そこへ颯爽と現れた鷹野は腐り切ったお荷物集団を立て直すと豪語し、ワクワクすると囁きます。鷹野は本当に立て直すことができるのでしょうか。
しかも、立て直すべきルーム１に残った弁護士はたった４人だけ。その4人を見た鷹野はブレーメンの音楽隊のようだと揶揄しましたが、この4人がまたいいバランスでしたね。真樹夫の娘で、新米弁護士の佐伯芽依を奈緒さんが、元ニートの弁護士、杉村徹平をKis-My-Ft2の北山宏光さん、元判事の女性弁護士、桐生実雪を大政絢さん、元刑事の弁護士、梅津清十郎を佐戸井けん太さんが演じており、初回からそれぞれの個性がわかりやすく表現されてありました。中でも北山さんは他局ドラマの「ただ離婚してないだけ」で主人公の柿野正隆を怪演しており、この役はどんな風に演じてくれるのか楽しみでもあります。
肝心の今回の案件は、釣りボート店でアルバイトをしていた被告・保坂が、大手飲食グループの社長である倉橋を釣りの最中の事故で溺死させたという事件。自らも命が危険な状態でのこの事故、通常なら“緊急避難”が適用され無罪にできるという案件ではあるのですが‥。接見でパニックになってしまったと後悔の弁を話した保坂に対し、鷹野だけは殺人を疑っていました。
聞き取り調査をしても確かな証拠がなかなか得られず、さらには有罪にするようにと圧力までもある中で、被告人の利益を守るべき弁護士が殺人の証拠集めをするのはなぜなのか。鷹野の言う「ワクワクして来たぞ」は、聞き慣れず違和感を感じちゃいましたが、これから鷹野のお決まりのセリフになりそうな予感。
ところ変わって、仕事の帰りに教会に行く芽依。そこには牧師・冨野静子役に山口智子さんが。監察医朝顔の時のような何でも包み込んでくれる人柄は今作でも健在の様子で、母を亡くし父も亡くした芽依の心の拠り所という重要な役所のように見えました。また、静子は鷹野の存在も、真樹夫がなぜ鷹野を呼んだのかも知っている様子でしたね。2人の関係も気になるところです。
杉村のお手柄で事件時の映像を入手することに成功。動画を見るとやはり無罪でしかなさそう‥。被告人の無実は喜ばしいはずなのに、鷹野は公判が始まり、被告人質問で鷹野は「あなたは無罪になれる、でもそれでいいんですか？あなたが本当に望んでいたことはこれで果たされたのでしょうか？」と保坂に語りかけました。
犯した罪は浮き輪の奪い合いでない。殺意を持ってわざとボートを転覆させることだったと話し、「社長を殺して心は晴れたのか、民事で訴えれば俺が全力で応援する。まだやるべきことがある、そのためには自分の愚かな行為を反省し罪を償うことだ。」と鷹野は語りかけました。結果として鷹野は保坂の罪をあばきましたが、倉橋の会社に勤め過労による自殺で息子を亡くしていた保坂にとって、これが１番の治療になったのかもしれません。
裁判が終わり、芽依は何故父が鷹野を呼んだのか少しわかった気がすると話しました。「弁護士の仕事は無罪にしたり減刑したりすることだけじゃない。それだけじゃ被告人は救えないんだ。」という真樹夫の言葉は、鷹野に通ずるものがありました。真樹夫が鷹野に事務所を託したのも、きっとそのため。今後もこのドラマの根底には被告人を本当に救うというテーマが隠されているように思います。
ラストシーン、鷹野は恋人の久美子がいる病室を訪ねていました。久美子は目は開いているものの意思疎通が出来ない様子で、鷹野にとっても何か悲しい過去があったことを予感させました。また、裁判を傍聴していた一ノ瀬検事の存在も鷹野と何か因縁めたものがありそうですね。きっとこれらのことについても、これから明らかになっていくのだと思いますが、気になる要素満載です。果たして鷹野らルーム1の立て直しに成功するのか、今後を楽しみに見守りたいと思います。
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