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【コントが始まる】第3話の感想・ネタバレ/脚本の良さ、演者の技量の素晴らしさ、良質な作品だとわかる回でした

コントが始まる第3話 感想 ※ネタバレ注意

マクベスのコントによって、2組の兄弟姉妹がつながりました。

春斗には、里穂子と同じような状況で引きこもった兄・俊春がいるということがわかりました。二人とも、真面目で頑張り屋だからこそ、人に頼れず背負い混みすぎて、周りが気づいたときにはどん底まで落ちている。

俊春はマルチ商法にはまり、ひきこもりまで行ってしまいましたが、里穂子にはマクベスがいました。

たこ焼きパーティをしながら、マクベスの3人の前で、里穂子は惨めな自分を曝け出しました。近すぎるつむぎや家族にはできないことで、マクベスの3人だったからできたのだと思います。

「今でも頑張るのが怖い。・・・頑張って傷つくのが怖い。

でも、寂しい。何かを頑張ろうとする気持ちを抑える日が来るなんて思ってなかったし、頑張らなくていい方を選択したこともなかったので。

こんなはずじゃなかったのにな。」

切なさの極みでした。

間違えた方向に頑張っていた。一生懸命であればあるほど、望まれる方向とは違う形の結果に行き着いてしまった。20代であれば、差異はあるものの似た経験を持つ人は多いでしょう。

でも、つむぎやマクベスという他人の前で、自分の状況を客観視し曝け出せた時点で問題のほとんどを乗り越えられているのはないでしょうか。里穂子は、”もう大丈夫”なんだなと思いました。

春斗と俊春の話も良かったですね。

春斗が俊春に言った「おやじと母さんだけじゃ水がもったいないから、風呂に入れよ」でしたり、瞬太の「ドアをノックし続けることが大事。着信履歴は心配してるよっていうメッセージ」という名言もありました。

「心配してるよ」「ひきこもりなんかやめなよ」というような直接的な言葉よりも、着信履歴を残したり、風呂の心配をする方が相手の心に響くことがあります。

それはコントにも通じます。

俊春は、「奇跡の水」を見て春斗の気持ちを受け取っていたのでしょう。

里穂子も「奇跡の水」が好きな理由は、「どんどん手をつけられなくなる兄を諦めない弟の必死な姿が妙に愛おしい」と言っています。つむぎが里穂子を思う気持ちに重ねられたのも良かったです。

「奇跡の水」の変な挿入歌を口ずさむ里穂子を見たつむぎが、母親に、もうお姉ちゃんは大丈夫だからと電話するシーンはじーんと来ました。

その後に、電話をしているつむぎは、「ヤバいね・・・(笑)」と答えていました。恐らく、母親は、「あなたも大丈夫なの?」と尋ねたのだと思います。

親は子どもを同じように愛していたとしても、表面的に問題が現れている方に言及しやすいです。”20代は暗黒時代”で今は水商売をしているつむぎも、自分の生き方や将来が不安でいっぱいなはずです。でも、目に見えて落ちていく里穂子を前に、弱音を言える状況ではなかった。

今話、マクベスのお陰で、つむぎもヤバいと口に出せるようになりました。

マクベスのコントははっきり言って、滑りまくってますが、本人たちの知らないところで誰かを救っているんだなと思います。

また、里穂子を心配しながら弱さを隠すつむぎを見つめる瞬太も気になりました。

「マクベスは客には手を出さないけど、その妹はどうなの?」というセリフは明らかにつむぎを指していますが、つむぎを見つめる表情は、単なる好意とはまた別のものだとも思います。

来週は、瞬太が主役の回で、母親との過去が描かれるようです。

春斗や潤平に比べ、瞬太は思って立って辛さや愚痴を表現することはなく、どこか達観していて諦念が漂っています。それは他人には理解してもらえないし、他人には期待していないからではないでしょうか。

だから、つむぎの気持ちがわかる。口には出さない人の辛さがわかるから、つむぎを放っておけない、そんな視線を感じました。

「コントが始まる」は、一つのシーンから何層もの思いが重なって描かれるのが本当にすごいなと思います。それぞれが全員主役で、一つのシーン、一つのコントを通してそれぞれの人生や思いや葛藤が描かれ、またそれが共鳴して一つのドラマを作り出しています。

誰か一人派手すぎても浮いていても成立しないドラマで、その絶妙なバランスの難しさを、こちらに全く感じさせず、なんともなしに自然に見せている役者さんたちの演技力も圧巻です。作品としてレベルが高すぎる良質なドラマをありがとうございます、と言いたいです。

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