イチケイのカラス第10話 感想 ※ネタバレ注意
嘘が嫌いな被告人、名無しの権兵衛。彼が嘘をつく理由とは何なのか‥。
今回の合議制の案件は、レアケースな傷害事件。青山が弁護する指名不詳の被告人は嘘が嫌いだと無実を訴えます。過去を捨てた積極的路上生活者だと名乗る被告人は本当に罪を犯していないのか。あなたのことを理解したいですからと、被告人の話を具体的に聞こうとする千鶴の姿勢はすっかりイチケイらしく、入間と駒沢、そして千鶴の3人が展開する裁判は安心感しかありません。
地球が家、毎日が夏休みだとポジティブホームレスを楽しむ被告人はどこか飄々としていて、掴みどころがありませんが、嘘は心を蝕むから、嘘が嫌いなんだと真剣な眼差しで訴える被告人が嘘をついているようにはどうしても思えません。
被告人と、被害者の主張が食い違う中、どちらかが嘘をついているのか、どちらも嘘をついているのか、予想外の人間が嘘をついているのか知る必要があるとお決まりの職権が発動されました。
「嘘にはいろんな嘘があり、誰がどういう理由でどのような嘘をついているのか見極めなければいけない、いかなる理由があろうと真実を持って正しい裁判を行うために。」千鶴が妹に聞かれたことがあると話を持ち出し、入間の甥っ子、姪っ子トークを彷彿させたシーンには驚かされましたね。
謎が多いこの事件、被告人が何者なのか青山は本当のことを知っているんではないかと入間は迫りました。それに反して、青山は依頼人が名を伏せることを望んでいると反論しましたが、「裁判官として知る必要がある、そこにこの事件の根幹が関わっている」と真実をもって裁こうとする入間の姿勢は変わるはずがありませんでした。
そして、裁判所主導の捜査により、被告人が何者か分かった時、青山に対して法廷倫理を訴えかける入間が印象的でした。偽物だとしても無医村には医師が必要だったというシビアな過疎地の現実と、唯一その嘘に加担した母を非難から守りたいと思う青山も気持ち。そんなことは分かっていながら、はっきりとした態度で「だからって嘘をつくの?法に。」と言える入間の心の強さを感じるシーンでした。
今回の事件、命の危険に晒された被害者に対し、医療行為をした被告人。傷害は起こしていないものの、無資格者による医療行為は罪となる。だけど、その悔やんできた罪を犯してでも、少年を助けたかったのは自分がかつて救えなかった母親から助けた子供だったからという展開はとてもシリアスで、だからこそ少年には嘘をついてほしく無いという被告人の心には胸を打たれました。
そして、「この法廷から全ての嘘が無くなった」と語られた千鶴の言葉が胸に響く結末でしたね。
入間が愛犬みちこの子供に名前を考えるシーンから始まり、名を名乗りたがらない被告人の人生に触れていく、すごくストーリー性のある展開で脚本が作り込まれているんだろうなと感じました。入間の両親の話も、入間という人間が作り上げられてきた根幹に触れたように思いました。
ラストシーン、もうすぐ10年の任期を迎える入間に、問題のある裁判官は再任されないと日高が話したり、またお願い青山と入間の仲良さげに話す様子を写真に収める男の姿もあり、最終話は入間の裁判官としての人生にも触れられていくんだろうと思うとハラハラしてしまう気もしますが、どんな結末が待ち受けているのか楽しみでなりません。
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