イチケイのカラス第11話 感想 ※ネタバレ注意
「イチケイのカラスになれ、坂間千鶴」
全て分かった上で、この事件に関わった人、全員にとって1番いい判決を下したい、そう願う入間の願いがどのように実を結ぶのか。
今回、青山と癒着し、入間が無罪判決を出しているという告発記事が週刊誌に掲載され、ネットは炎上。任期満了が迫るこの時期の記事に、政治が絡んでいるかも知れないと駒沢たちは話し、入間が職権発動している重過失致傷事件を検証し直すことになります。いつも真実を知ることに余念のない入間が携わることできっと都合の悪い人間がいるんだろうなと匂わせる展開でした。
入間が心配で夜も眠れなかった千鶴が、初回の頃のようにピンポン連打で家を訪ね、どこか懐かしさも感じながら‥(笑)もちろん、入間のことが心配だということもあるとは思いますが、万が一大きな力で真実をねじ曲げるなら司法はそれを許されないと話す千鶴からは裁判官としての信念が感じられました。そして、「この案件が最後になろうとも、僕はいつも通りやるよ」と入間の変わらぬ姿勢はどこか安心感を与えてくれました。
入間の姪っ子も甥っ子同様にやはりいい大人でしたね(笑)何のために人は働くのかと話す入間と甥姪の3人。3人のレンガ職人の話を持ち出し、仕事に使命と誇りを持つ3人目のレンガ職人のようになりたいと話す千鶴が印象的でした。そして、この何のために、誰のために働くのかという姿勢が最後の最後に、みんなの胸に真実を問う形となりました。
自転車事故について調べると、千鶴が担当している地下鉄工事における業務上過失事件が絡んでいることが明らかになってきます。違法な過重労働も疑われる中、プロジェクトリーダーは安斎という代議士と判明。さらに工事の元請けは巨額脱税していた鷹和建設。裏を暴けばみんなのクビが吹っ飛んだりして‥とイチケイで話される中、入間に「いつも通りですよね?」と念押しする千鶴。入間は少し躊躇いを見せながらも、二つの審理が併合審理へと動き出しました。入間はきっとこの頃から、真実を暴くことで仲間へ迷惑をかけてしまうかも知れないことを想像していたのかも知れません。
関東弁護士会の理事長も務める大物弁護士の江原が登場し、不穏な空気が漂う中、1日目の審理が始まりました。20人の現場作業員から話を聞こうとする入間に、いつもならNGを出そうとする川添も快諾し、みんながこの事件の真実を見つけ出そうと必死でした。「政治と司法の戦いなる。司法は時として、政治の下にある。歴史が物語るように圧倒的に不利な戦いになる」と日高が話すように、圧力だらけの裁判。イチケイメンバーは権力に打ち勝つことができるのかと不安が過ります。
審理2日目。呼び出された20名の作業員みんなが口を揃えて過重労働はなかったと話し、箝口令が敷かれていることを予感させました。また、過重労働が原因で亡くなったとされる本庄の母が証言台に立ち、「お父さんが悪いことをしたから死んだのかと聞く孫に本当のことを知ってもらいたい。」と話す姿は切なく、真実を明らかにするという千鶴の約束が必ず果たされることを願わずにはいられませんでした。
そして、もちろんのように職権が発動されました。聞き込み中、安斎の秘書が登場し、秘書もわかりやすい圧力を見せました。やはり世の中は、こういった権力にねじ伏せられるものなのでしょうか。賢明な判断をと言われ、言い返さない入間に千鶴は不服そうでした。
そして千鶴はイチケイメンバーを前に話し出しました。最後の案件もいつも通り、入間みちおは入間みちおだと思わせてくれたこと嬉しかった。それなのにここに来て保身の姿勢を見せるなんてと憤りを見せた千鶴に、みんなのための保身だと駒沢は語りました。
裁判官として法に携わるこの仕事が好きな入間はみんなも同じだと思う、突き進んだ結果その好きな仕事を奪ってしまうかもしれないと珍しく迷っていた入間。正しい裁判をするためなら周囲の迷惑はおかまいなし、事件関係者のために何があっても真実をもって正しい判断を下す入間の姿勢が仲間を前に揺らいだ瞬間は、入間の人としての弱さというよりも、仲間を思う気持ちの強さを見せつけられました。そして、イチケイメンバーもそれは同じで、保身は受け取らないと真実を明らかにするためにチーム一丸となって進み出しました。
3日目。代議士の安斎が法廷に立ちました。「1億2000万人の国民の利益も天秤にかけた時、選択しなければいけないことは多々ある。私が相手にしているのは個ではなく国民全員。冷徹だと思われようがこれが使命」だと話す安斎に「私の使命は真実を知ること、正しい裁判を行うこと」だと返し、権力に屈しない姿には潔いものがありました。
そして、亡くなった本庄の5歳になる息子も証言台に。「想像して下さい。あったことをなかったことにされたら、どれだけの人が傷つくことになるか。想像して下さい。あったことをなかったことにして、どれだけの苦しみを抱えて生きていくことになるのか。想像して下さい。勇気を出して一歩踏み出した時に失わずにすむものを。何のために、誰のために、働くのか。少なくとも自分の人生に誇りを持って生きていけるのではないでしょうか。」法廷での入間の言葉は、今まで話されたどの言葉よりも重く、胸に響きました。
「証言をしたい人はいますか?」入間から発せられたこの型破りな問いかけが、それぞれの胸に正義を問いかけました。それは真実を話した人事部長、原口の「裁判長ありがとうございました。これで誇りを失わずにすむ」と言う言葉にも現れていたと思います。
結局、安斎は罪が問われず秘書が責任を取る形となり、なんだかモヤモヤは残るものの、またいつか会うかも知れないと話す安斎からは続編への期待を感じてしまいました。
裁判の結果が影響したのかは定かではないものの、入間はやはりクビに。しかし、千鶴は香田に会いに最高裁判所へ向かいました。そこで、千鶴は千鶴への責任を問わないと約束を取り付け、辞めたことを知ります。
裁判官にとって大事なことは何か?全話通して触れられた、話をしっかりと聞き真実を見つけることの大切さを入間から学んだ、裁判官としての入間みちおのこれからを見てみたいと訴えた千鶴。そしてイチケイの仲間も駆けつけ、入間クビへの異議を唱えました。法曹界は、入間みちおを必要としている。そんな熱い思いが訴えられる中、1人待ちぼうけの入間(笑)クビは撤回され、暖かい場所へと異動になりました。イチケイからの取り扱い説明書付きで(笑)
入間ならきっと、どこの地へ行こうとも今まで通り。全て分かった上で、この事件に関わった人、全員にとって1番いい判決を下すため、職権を発動しまくり、周りをこれまで通り振り回し続けるのではないでしょうか。そして、千鶴もきっと第二の入間みちおのような裁判官の姿を見せてくれる気がします。そんな2人の姿を願わずにはいられません。
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