イチケイのカラス第4話 感想 ※ネタバレ注意
「AI裁判官ってどう思う?」入間から千鶴への今回の問いかけ。感情に流されず、客観的事実に基づき判断を下すことができるAI。大量に案件を処理し、間違わないのではと千鶴は語りますが、それを信条のように掲げていた千鶴にとって、今回の裁判は裁判官としての人生の転機になったように感じました。
みちおを見守る会(笑)から、坂間千鶴の裁判は駄作だ、ベルトコンベアー裁判官だなんて言われる千鶴。このシーン、映画「地獄の花園」から永野芽郁さん広瀬アリスさん遠藤憲一さんが次々被告人として現れ、豪華でしたね。
今回合議制の案件は、家庭裁判所から逆送された少年事件。17歳の望月博人は、バイト先のレジャー施設の売上金5000万円を盗んで逃亡。警察に逮捕されそうになり、非常階段から盗んだ現金をばら撒き、回収不能だった現金もあるとか。この事件を千鶴が裁判長を務めることになりました。
心を開かない完全黙秘の被告人の博人に対し、まずは裁判長のことをと千鶴のことを話し出す入間。心を開かせることが必要なのに完全黙秘で困っているなんて千鶴を法廷でいじるのはさすが入間(笑)秩序ある法廷で、笑いがおきるなんて(笑)みちおファンが沢山いる理由がわかる気がします。
博人は児童養護施設で育ち、陸、未希という兄弟のように仲の良い2人がいました。陸は縁を切ったと言っていましたが、実はそこに博人との強い絆があることを物語の最後に知ることになります。
第二回公判。被告人の人生がかかっているんだと居眠りする国選弁護人に一括する千鶴の一言が少しだけ博人の心を動かしたのかもしれません。「法律なんてクソだ」初めて言葉を発した博人からは、こんな言葉が。レジャー施設への逆恨みからくるものなのか、未だよくわからない真相。いよいよ千鶴も言わざるを得ない状況に。「職権を発動します。」千鶴がこう言う日が来るとは、異動してきた頃の千鶴の姿からは想像もつきません。
事故は本当に不慮の事故だったのかを調べる千鶴たちのもとに現れたレジャー施設の顧問弁護士は、黒を白に変えた楽しいゲームだったと話します。しかし、一事不再理という裁判の原則に基づき、一度判決が下されたら覆ることがないこの現状にもどかしさが。「法律は人間が人間のために作りだしたルール。必ずしも弱い者の味方になるとは限らない。」と入間は話しますが、今回はまさにそのことを痛感するものでした。
そして、犯行後の博人の足取りを調べることでようやく真実に辿り着きました。博人の犯行後の3時間の空白の時間。陸と会い、強奪したお金のうち、未希の手術代だけを手渡していたのです。
幼い頃、両親がいない環境で自分たちは兄弟だと強い絆で育ってきた3人。ピアニストを目指す未希の手の怪我に申し訳なさや、事故を隠蔽したレジャー施設の憎悪、夢を叶えてやりたいという兄としての気持ち、解決してやれるのは自分だけだという責任感、いろんな感情が博人を突き動かしたのかなと思います。そして、2人を守るための完全黙秘だったのだと感じました。
千鶴に対して、真実を明らかにすることを躊躇してるかと入間は尋ね、「たとえ彼が望まなくても、客観的に事実に基づき裁く必要が私にはある。」と千鶴は答えましたが、きっとそこには少なからず躊躇する気持ちがあったと思います。AIではないからこその躊躇する思い。その思いがあるからこそ、たとえ同じ判決を下そうが被告人に寄り添えるのかもしれません。
「兄弟は何があっても離れたらいけんよね?一緒におるべきよね?」真実を知り、苦悩する千鶴でしたが、出した判決は懲役3年、執行猶予と保護観察付きというもの。罪に正しい罰を下すことの難しさ、心の葛藤を千鶴の姿から感じました。
もちろん、手術は中止になり、その事実を知った博人は法律なんてクソだと涙を流します。すると千鶴は法壇を降り、博人と同じ目線に立ち、「人生は自分の思い通りにならないことの方が多い。努力しても、どう足掻いても、どうにもならないこともある。それでも、自分の人生を投げてはいけない。いかなる理由があろうと罪を冒してはいけない。」と諭すのでした。
そして、「許さなくていい。苦しみ、憤りを受け止める。前を向いて生きていけることを願う、自分の人生を切り開いていけることを。辛い経験があったからこそ今があると思える日が来ることを。」と語りかける千鶴は印象的で、裁く者の覚悟のようなものを感じました。
その後、入間は自分を裁くことにこれだけ苦しんでくれた人がいることは救いになったはず。冷静に客観的に、そして誰よりも被告人のことを考えていた。千鶴にしかできない裁判だったと声をかけ励ましました。入間が法壇を降り被告人と話をすることを、当初驚きしかなかった千鶴ですが、今回自然と法壇を降り被告人に近づいていました。誰よりも、博人に寄り添っていたと思います。
後日、未希の事故は民事で損害賠償請求を。3人がバラバラにならぬよう千鶴は根回しもし、最後の最後まで、事件に向き合っていました。そんな千鶴のことをイチケイのカラスになれるんじゃないかと話す駒沢。ワタリガラスの神話では、カラスは何者にも束縛されない自由の象徴。入間と千鶴、2人の化学反応で何が生まれるのか楽しみだと話す駒沢に、こちらまで期待してしまいます。
ラストは、妹・絵真の計らいで、デートのような状態になった入間と千鶴(笑)千鶴に好意を寄せる石倉がそんな姿を目撃してましたね(笑)当初2人は全く別のベクトルを向いていたけれど、少しずつそのベクトルが向きを揃い出し、今回は入間と千鶴の裁判官としてのあり方が重なってきたようにも見えました。次回も楽しみです。
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