イチケイのカラス第7話 感想 ※ネタバレ注意
「あなたは裁判官失格です。」日高の言葉が法廷に響き渡り入間の負けなのか、そう思ったのも束の間、日高の正義は予想を上回るものでした。最終話で取り扱われるかと思ったこの事件を今回は見応えたっぷりの1時間で届けてくれました。
仁科の遺族・由貴に再審請求を提案する千鶴。「入間の行動は裁判官の常識から考える非常識なことばかり。12年前の事件のことがあるから今の入間がある。」語りかけました。入間の非常識は、千鶴にとって徐々に常識のようなものになりつつあるのかもしれません。それは入間の非常識には、真実を明らかにすることへの信念が確実にあるからだと思います。
そして、入間と親しげな弁護士、青山瑞希の登場。入間が散歩するみちこも瑞希に一直線でしたね(笑)少しやるせない顔をした千鶴が印象的でした(笑)瑞希の飼い犬だったことも明らかとなりましたが、みちこって名付けたのが瑞希だと思うとどんな関係だったんだろうと勘繰りたくなりますね。
また、「オオカミが人を襲うと思うか。」警戒心が強く人前には姿を表さないオオカミが人を襲うイメージがついたのは童話の影響が強い。冤罪を晴らすには染み付いたイメージを払拭する必要がある。と瑞希は語り、再審請求が行われました。みちおイズムみたいなものが、瑞希にも感じられた瞬間でした。
即時抗告されてしまうのか、開かずの扉はやはり開かないのかと思われた今回。申立書を出すのを忘れたと城島が、上司に楯突く形で押し切りました。中森から睨まれながらも、検察官としての使命を果たそうとするプライドは潔くて、カッコ良かったですね。
弁護士として担当した事件を裁判官として務めること、中立性の面から言っても適任とは思えないと言われた入間でしたが、疑念を抱いたら意義を唱えてほしいと前置きし、裁判が始まりました。こんな風に誠実に何でも話せるところが、入間の良さだと思います。
そして、無実を訴えて亡くなった仁科たち遺族の苦しみを代弁し、「真実を持って正すこと。司法が犯した間違いを正せるのは司法によってのみ。」と語る入間には、裁判官としての使命に向き合う覚悟を感じました。
職権を発動し、捜査に臨むイチケイメンバー。疑惑を明らかにしようと様々な角度から攻める中、検察側から忌避申し立てが行われました。忌避申し立ての差し戻し期限は一週間後となり、物語は急速に展開していきます。
そして第3回公判。
証拠はないとたかを括る中森。そこで動いたのが、井出でした。正しいことをやるために検察官になったと検察側の不利益となる事実を提出する姿は、城島とともにいつも真実に向き合ってきたからこそだと思いました。それでも平然とし、余裕綽々な中森には嫌悪感しかないですが、城島も井出も権力に屈しない姿はカッコ良かったです。
日高の尋問の番となり法壇を降り、語りかける入間。ここは何としても日高から真実の言葉を引き出したいところ。
「遺族の苦しみ、痛み、憤りを想像してほしい。法に携わるものとして、良心に従い応えてほしい。」法廷で真実が明らかとなることを望む遺族たちに寄り添う入間の言葉は胸に熱く響き、入間のような裁判官が本当に存在したならば、救われる遺族が何人もいるんじゃないかと感じるほどでした。
入間の渾身の問いかけも虚しく、日高の答えは「誰にも忖度などしていない。」というもの。さらに、今回の入間たちの裁判について、裁判官の立場を逸脱しており、「あなたは裁判官として失格です。」と強い言葉を返す日高。結局司法を裁くこと、権力に打ち勝つことは無謀なことなのか‥。入間の正義が、司法に負けてしまった瞬間のように見えました。
しかし、日高は裁判後、中森に迫り真実を確認、録音していました。上に従順なフリをして、真実を聞き出した日高はあの判決は忖度によるものだったと認め、裁判官の職を辞す決断を。あの日高がそんな風に動いてくれること、想像できた人がいるのでしょうか。きっと、入間の側で裁判官としての姿勢を考えさせられ続けた千鶴が日高の正義を後押ししたんじゃないかと思います。
志あるものが動くことを信じていると締めくくられた会見。それはきっと入間や千鶴のことなのでしょう。日高が手渡した白いカラス。類稀なる人物の象徴とも言えるこのカラスは、日高の正義を称賛するように見えました。「終わってないわよ。伝聞伝言伝達。もはやどこか定かじゃない上。いつかあなたたちが対決する日が来るかもね」
入間の裁判官としての使命でもあった仁科の無罪を証明することが果たせて本当によかったと思いましたが、日高のこの言葉は、まだこの先に、見えない敵が待ち受けているということなのでしょうか。
「やめといた方がいいよ、みちおだけは。」と去る瑞希は千鶴自身も気が付いていない千鶴の心に気がついているようで、今後も楽しみになりました。
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