ミステリと言う勿れ第10話 感想 ※ネタバレ注意
「人に会い、人を知りなさい。それは自分知る旅だよ。」天達が話したように、ライカとの出会い、そして別れが久能をまたひとつ大きく成長させてくれました。切なさが溢れるこの回を、ライカ演じる門脇さんと、久能演じる菅田さんの2人の名演技が存分に魅せてくれました。
ライカを初詣に誘ったものの、“デート”なのかと戸惑いを見せる久能。待ち合わせた夜中3時。ライカはお参りで千夜子の幸せを熱心に願っていました。願いが叶うと書かれた中吉のおみくじを引き、一緒にたこやきを分け合う楽しいひとときはあっという間で‥。
その後、病院に帰る前に焼肉食べないかというライカの言葉から2人は焼肉屋さんを訪れます。ここでの、久能とライカは洞察力に優れていましたね。震える手、差し出された5円玉と10円玉、“ゴーヤトーフ”のサービスが強盗を指し、さらに「タン塩、酢モツ、ケジャン、テールスープ」の頭文字が助けてになっていること、散りばめられたSOSをしっかりとキャッチしていました。そして、怒涛の展開を見せながら事件が解決してしまいました。
そんな中、焼肉屋さんで語られたライカの真実の姿には驚き、涙なしでは見られないほど切なくなりました。千夜子が解離性同一性障害で、ライカは千夜子が生み出した別人格の1人であったこと、その別人格が生まれたのは親からの性的な虐待が背景にあったこと、さらに、ライカが痛みを引き受けるためだけに生まれてきたこと‥。聞こえてきた真実は、どれも胸が苦しくなりました。
「私の願いは千夜子が幸せになること。それ以外は何も望まないし、この世に何の未練もない。だからいつ消えても構わない。」と思っていたライカが久能と出会ったことで、楽しい、嬉しいという感情を知り‥。自分が存在することで千夜子は幸せになれないとわかっているのに、消えたくないという気持ちとの葛藤は、久能の存在がライカの中でそれほどまでに大きなものになっていたことを物語っていました。
そして、それは久能もまたそうでした。お花見の楽しみがわからないと思っていた久能が、ライカと過ごすことで、誰かと一緒に桜を見たい、その美しさについて語りたいと思えたことは、天達の言うように新たな自分自身の発見でした。そんな風に感じられた大切な存在を失うことになった久能が、それがライカの願いならと受け入れてたこともまた、久能の優しさですよね。お互いにお互いを尊重し、大切だと思える“友達”。我路の時とはまた違った友情が芽生えていたように思います。
また、今回もう一つ衝撃だったのは久能の胸元の傷の理由でした。常に首に巻いていたマフラーを外し、「僕にも傷があります。この傷はライカさんの傷と同じ痛みです。」久能も虐待を受けていた過去があったことが明らかになりました。
「整君の痛みも代わってあげられたらよかったな。」ライカの優しさが胸に響く中、「友達になれて、初めて少しだけ生まれてきてよかったと思った。」と語るライカ。ライカの人格がそう思える瞬間があったことが唯一の救いなのかもしれません。そして、目に涙を溜め別れの言葉を呟く久能。この時の菅田さんの演技は本当に息をのみました。
里親の元で暮らすことになった千夜子の幸せを見届け、春を待たずして消えてしまったライカ。そんな久能を心配して「私が友達になってあげます!」と風呂光は口走りましたが、ライカと別れたばかりの久能の側に優しい誰かがいることに少し安堵しました。2人の関係はどうなっていくのか‥。次回は我路も再び登場し、羽喰玄斗が鍵を握る回になりそうですね。楽しみにしたいです。
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