大豆田とわ子と三人の元夫第2話 感想 ※ネタバレ注意
元妻への行き場のない好意とプライドの高さ、自己肯定感の低さが相まって、非常にこじらせている3番目の夫・慎森が主役でした。
岡田将生さん演じる慎森の周りの空気を読まない「~って意味あるんですか?」「~っているかな?」は、周囲の人たちの日常を否定することで、孤独で虚しい自分を正当化しようとするみじめな行為です。お土産の温泉饅頭を否定したり、バスケを否定したり。
でも結局、自分の好きなパンダのお饅頭を食べられない羽目になって、ますますみじめさが募るばかり。そしてまた強がって、孤独になるという負のこじらせ連鎖です。
ですが、それでもなんだか放っておけないと思わせるのが慎森の魅力です。わかりやすすぎるとわ子への好意が透けて見えるからでしょう。パンダも好きで、きっととても寂しがり屋。
その慎森がとわ子に本音をもらしたシーンは胸キュン爆発でした。
「早く他の人と付き合ってほしいんですよ、じゃないとこっちが終われないんですよ」
おでこ0距離で「ごめん。本当は思い出にできない。さよならが言えない。またあのソファに君と座って失くした時間を取り戻したい」
こんなセリフを、年下かつ岡田将生さんの顔で言われたら年上女性はたまらないはず。回想の中で、おでこを合わせて「充電完了」というのも溶けました(笑)
ですが、とわ子は淡々としています。
「失くしたんじゃないじゃん、捨てたんじゃん。捨てたものは返ってこないよ」
「怒ってもないし、面倒くさくもないよ、だって他人だもん」
そんな慎森を変えてくれたのは、派遣切りにあった女性・小谷翼でした。
「スポーツの世界の一番は勝った人じゃないよ。グッドルーザー。負けた時に何を思ったか、何をしたかで本当の勝者は決まるんだよ」
その言葉をもらった慎森は、「ママは僕が助ける」と言って不得意な全力疾走で、ノコギリ女として警察に連れていかれたとわ子を助けに?行きます。とんちんかんな頑張りでしたが、誰かのために体裁を捨ててがむしゃらに頑張ることはとても格好いいことだと思いました。
グッドルーザーになるとは、目に見える結果ではなく、そこまでの過程をどう頑張れたか、頑張った自分を認められるかなのかなと思いました。そうして、慎森は会社の人にも挨拶ができるようになり、苺のタルトのシーンに移ります。
捨てたものは返ってこない。あなたは他人。だけど、過去を、負けたことを、過ちをどう意味づけるかによって本当のその人の真価が問われる。負けたとしても間違ったとしても、それを認めて受け入れ前に進んだ時、人は一緒に生きていける、というメッセージが伝わってくる素晴らしい一話でした。
今話も言葉の魔術師・坂元裕二ワールドが全開でした。
とわ子が社長になる決心を後押しした、数学の問題集を解く女子高生と苺のタルト。苺のタルトを食べるために、慣れない社長として頑張ろうと思ったと話したとわ子に、
「君は昔も今もずっと頑張っている。キラキラ輝いていてまぶしいよ」と慎森は伝えました。
慎森がずっと言いたかったこと。素直になれず言えなかった、本当の気持ちを言えた瞬間でした。
「今の言葉が私の苺タルトかも。別れたけどさ、今でも一緒に生きてるとは思ってるよ」
「僕までタルトもらっちゃったな」
坂元さんの脚本の凄さの一つは、比喩のうまさです。そのままの気持ちを言葉にするより、例えることで鮮やかに心に映し出されます。真っ赤な苺のった艶めくタルトが、とわ子と慎森の目の前に置かれたのが見えました。
その他にも、枚挙に暇がないほど、クスっと笑える名台詞がてんこもりでした。
「清少納言とステーションワゴンくらい関係ない」「犬派ですか猫派ですか?って聞かれるより嫌い、紙でピッて切れるより嫌い、ビュッフェのカレーのお玉の持つところにカレーがついてるくらい嫌い」などなど
坂元さんの言葉のセンス、日常の機微を掬いとる繊細な感覚。もう脱帽です。
また、エンディング曲が変わっているという、おしゃれすぎるサプライズもありました!
「PrecenseⅡ(feat.BIM 岡田将生)」
歌詞に「消せば増える消しカス」「馴染みのソファだって今日で新品」と、劇中の慎森をリフレインさせているのも素敵すぎでした。
しかも、ラッパーのBIMさんは、エレベーターの中でインテリアコーディネーターの横に立っていた人として出演されていました。エンディング曲まで、ドラマ制作陣の豊かなサービス精神を感じさせます。来週も注目です!
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